要点:日影図は、建物が冬至の日に周りの地面に落とす影を、1時間ごと(時刻日影図)や、影になる時間の長さごと(等時間日影図)に描いた図です。建築基準法第56条の2の日影規制を満たしているかを確かめるために、設計者が作ります。買う人にとっては、隣に計画されている建物の影が、自分の敷地や建物のどこに、何時ごろかかるかを読む手がかりになります。ただし日影図が示すのは決められた高さの水平面にできる影で、あなたの窓に1日何時間日が当たるかは示しません。それは住所と窓の位置で確かめましょう。
日影図とは
日影図には、ふつう2種類あります。
- 時刻日影図:8時、9時、10時と、1時間ごとの影の輪郭を1枚に重ねて描いた図です。影は朝に北西へ長く伸び、正午に真北で最も短くなり、夕方に北東へ伸びるので、建物の北側に扇のような形が広がります。
- 等時間日影図:影になる時間が同じ点を線で結んだ図です。「3時間の線」の内側は、冬至の日に3時間以上日影になる場所です。
どちらも、次の決まった条件で描きます。
- 日にち:冬至日。太陽が1年でいちばん低く、影がいちばん長くなる日です。
- 時間:真太陽時の午前8時から午後4時まで。北海道では午前9時から午後3時までです。真太陽時は、太陽が真南に来る時刻を12時とする時刻で、時計の時刻とは少しずれます。2026年12月21日の計算では、太陽が真南に来るのは東京で時計の11時39分ごろ、大阪で11時56分ごろ、福岡で12時16分ごろ、札幌で11時33分ごろです。
- 高さ:地面そのものではなく、平均地盤面から1.5 m、4 m、または6.5 mの水平面に落ちる影を描きます。おおよそ1階、2階、3階の窓の高さにあたります。
日影規制のしくみ(建築基準法第56条の2と別表第4)
日影図は、日影規制を守っているかを確かめるための図です。条文(建築基準法第56条の2第1項)の要点は次のとおりです。
- 規制がかかるのは、別表第4に挙がっている地域のうち、地方公共団体が条例で指定した区域です。
- 対象の建物は、冬至日の真太陽時8時から16時(北海道は9時から15時)の間に、決められた高さの水平面で、敷地境界線から5 mを超える範囲に、決められた時間以上の日影をつくってはいけません。
- 時間の上限は、境界線から10 m以内の範囲と、10 mを超える範囲とで分かれ、どの組み合わせを使うかは条例で決まります。
別表第4をやさしく言い直すと、次のとおりです(北海道ではそれぞれ短い値になり、たとえば「3時間と2時間」の組み合わせは「2時間と1.5時間」になります)。
| 地域 | 規制を受ける建物 | 影を測る高さ | 境界から5 mを超え10 m以内 | 境界から10 mを超える範囲 |
|---|---|---|---|---|
| 第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域 | 軒の高さが7 mを超える、または地階を除き3階以上 | 1.5 m | 3、4、5時間のいずれか | 2、2.5、3時間のいずれか |
| 第一種・第二種中高層住居専用地域 | 高さが10 mを超える | 4 mまたは6.5 m | 3、4、5時間のいずれか | 2、2.5、3時間のいずれか |
| 第一種・第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域 | 高さが10 mを超える | 4 mまたは6.5 m | 4、5時間のいずれか | 2.5、3時間のいずれか |
| 用途地域の指定のない区域 | 軒7 m超か3階以上(1.5 m)、または高さ10 m超(4 m)から条例で選ぶ | 1.5 mまたは4 m | 3、4、5時間のいずれか | 2、2.5、3時間のいずれか |
別表第4の地域の欄には、商業地域、工業地域、工業専用地域は挙がっていません。ただし、規制区域の外にある高さ10 mを超える建物が、冬至日に規制区域の中の土地に日影をつくる場合は、区域内の建物とみなして同じ規制がかかります(第56条の2第4項)。また、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可した場合などは例外になります。自分の土地や近くの土地がどの区域で、何時間の組み合わせなのかは、自治体の条例と都市計画の情報で確かめましょう。
日影規制が守ってくれること、守ってくれないこと
日影規制は、近所の土地が冬に長い時間日影にならないようにする決まりです。でも、買う人が知りたい「自分の窓に何時間日が当たるか」とは別のものです。
- 測るのは窓ではなく、水平面です。 1.5 m、4 m、6.5 mの高さの平らな面での影なので、5階や10階の窓の日当たりは日影図からは読めません。
- 測るのは冬至の8時から16時だけです。 早朝や夕方の日差し、春や夏の日差しは対象外です。
- 境界から5 m以内は対象外です。 計画建物の敷地境界から5 m以内の土地は、何時間日影になっても規制の対象外です。
- 建物ごとに確かめます。 同じ敷地の建物はまとめて1つとして扱いますが、すでに建っているほかの建物の影と合わせた時間ではありません。周りにいくつも建物があれば、実際に日影になる時間はもっと長くなりえます。
- 規制のない地域もあります。 商業地域などでは、近くに高い建物が建っても、日影規制で日当たりが守られるとは限りません。
つまり、日影図は「この計画は決まりを守っている」ことを示す図で、「この部屋は明るい」ことを約束する図ではありません。
影の長さを計算してみる(東京、冬至)
冬至の東京で、高さ1 mあたり影が何 m伸びるかを、太陽の高さから計算しました(真太陽時、平らな地面、ほかに何もない場合)。
| 真太陽時 | 太陽の高さ | 影の向き | 高さ1 mあたりの影の長さ |
|---|---|---|---|
| 8時、16時 | 約8° | 北西寄り、北東寄り | 約7.0 m |
| 9時、15時 | 約17° | 北西、北東 | 約3.2 m |
| 10時、14時 | 約24° | 北北西、北北東 | 約2.2 m |
| 11時、13時 | 約29° | ほぼ北 | 約1.8 m |
| 12時 | 約31° | 真北 | 約1.7 m |
たとえば高さ10 mの建物の影は、4 mの高さの水平面では、正午に建物から約10 m、9時と15時には約19 m、8時と16時には約42 mまで伸びます。札幌では冬至の正午でも太陽の高さが約23.5°しかなく、影は高さの約2.3倍、福岡では約33°で約1.5倍です。春分や秋分の東京の正午は太陽が約54°まで昇るので、影は高さの約0.7倍に縮みます。日影図が冬至で描かれるのは、1年でいちばん厳しい日を見るためです。
買う人のための日影図の読み方
- 北を確かめる。 図の方位記号を見ましょう。影は北側に広がります。
- 自分の場所を置く。 自分の建物、庭、主な窓が図のどこにあるかを書き込みます。
- 等時間の線を見る。 自分の敷地や窓の位置が、何時間の線の内側にあるかを読みます。
- 時刻日影図で時間帯を見る。 何時から何時に影になるかがわかります。南側のリビングが10時から13時に影になるなら、冬の昼の日差しが消えるということです。
- 測った高さと窓の高さを比べる。 4 mの面の図なら、2階の窓のあたりの影を示しています。上の階ほど影から出やすく、1階はもっと影になりやすくなります。
- 冬至の図だと覚えておく。 冬至に影になる場所でも、3月や9月には日が当たることがよくあります。
計画中の建物の日影図は、事業者が開く近隣説明会の資料に入っていることがあります。手元にない場合は、事業者に頼むか、自治体の建築指導の窓口に相談しましょう。
日影図ではわからないこと:窓ごとの日照時間
買う前に本当に知りたいのは、たいてい次のようなことです。
- 冬至の日に、自分の階の、自分の窓に何時間日が当たるか。
- 朝早くと夕方を含めた、1日の全部でどうか。
- 冬だけでなく、1年の月ごとにどうか。
- すでに建っている建物、木、計画中の建物を全部合わせるとどうなるか。
これは、住所と窓の位置を入れて計算するほうが早くわかります。
自分の住所で確かめる3ステップ
Flatwalkの無料ツール「あなたの窓の日当たりシミュレーション」は、置いた窓ごとに、周りの建物と木を計算に入れて直射日光の時間を出します。
- 住所を入れて建物を選ぶ。 「あなたの窓の日当たりを見てみましょう」に住所を入れ、衛星地図で自分の建物をタップします(ピンの下の建物が緑になります)。マンションなら マンションの住戸(建物の1つの階)を選び、屋上で住戸の角をタップして、階数、自分の階、1階分の高さを入れます。一戸建てなら 一戸建て を選びます。地図に建物がなければ「地図にないので自分で描く」で輪郭を描けます。
- 窓を置く。 外壁ごとに「南側の壁 · 日の当たる側」や「東側の壁」のようなタグが付きます。壁をタップしてその壁の正面に回り、窓のある場所をタップするか、ドラッグして描きます。窓は8つまで置けます。
- 日当たりを読む。 日当たりを見る をタップし、昼が最短(冬至のころ)を選びます。その日の直射日光の時間、最初と最後に日が当たる時刻、月ごとの棒グラフ、そして「日差しをさえぎるもの」が出ます。
隣に建物が計画されているときは、おかしな点がありますか? から 建物を追加 を選び、建つ場所の角をタップして、日影図や計画のお知らせにある高さを m で入れます。計算し直したあと、「今日 -1時間05分」のように、失われる時間がバッジで表示されます。リンクをコピー で、住所、窓、追加した建物まで含めた画面をリンクに保存して、家族や近所の人に送れます。
このツールでわからないこと
- 計算した値で、測った値ではありません。 時間は地図と太陽の位置から計算したもので、窓辺で光を測ったものではありません。
- 日本では計算用の建物データが粗めです。 高さを実測したデータがあるのは、英国、ドイツ、ポーランド、米国、カナダの一部の都市です。日本ではOpenStreetMapの建物を数百 mの範囲で読み込み、高さは種類や大きさから推定し、地面を平らとして扱うので、計算に少し時間がかかります。向かいの建物の高さが違うと思ったら、おかしな点がありますか? の 高さを直す で直しましょう。
- 新しい建物と木。 地図データより後に建った建物や、植えられたり切られたりした木は、追加するか直すまで反映されません。
- 天気。 「平年の天気」を使える場所でも、それは2005年から2023年の月ごとの平均で、予報ではなく、窓ごとに1から2割ほどずれることがあります。
- 窓だけです。 庭の地面、バルコニーの床、屋根の太陽光パネルの日当たりは測りません。
- 法的な書類ではありません。 日影規制の確認や、日照についての争いに使える正式な日影図や報告書にはなりません。
- 細かいもの。 窓枠、ガラスの色、自分の建物の屋根の形は入りません。地図の輪郭は実際の壁から1 mほどずれることがあります。
無料で試す:計画中の建物で、自分の窓から何時間の日差しが消えるか見る
従来のプランナーにはない、Flatwalkの機能

照明
シーリングライト、スタンドライト、LEDテープを置いて、日が沈んだあとの部屋を確認できます。

街の中のわが家
住所を入れると、地図にデータがある場所では周りの通りや建物が3Dで現れます。

住所に合わせた日当たり
日付と時刻に合わせた本物の日差しと、各部屋に直射日光が入る時間。

自分の部屋に家具を1つ
ライブカメラや写真の中で、ソファを実寸で自分の床に置き、そこにどう日が差すかを確認できます。

細部まで
窓とドアの種類、パーツごとに組み立てるキッチン、クローゼット、浴室。

親指ひとつで
指1本で時刻をスライドして、光が動くのを見られます。
スワイプしてもっと見る。画像はすべてアプリの実際の画面です。
住まい1つは無料
ほとんどの人が計画するのは1つの住まいです。それなら、Flatwalkは無料です。期限付きのお試し期間も、カードの登録もありません。住まいを描くこと、住所に合わせた日当たり、照明、家具、ウォークスルーがすべて含まれ、AIツールはそれぞれ1回ずつ無料で試せます。メンバーシップは、もっと多くの住まいやAIを使いたい人のためのものです。
よくある質問
日影図とは何ですか?建物が冬至の日に周りに落とす影を描いた図です。1時間ごとの影の輪郭を重ねた時刻日影図と、影になる時間が同じ点を結んだ等時間日影図があります。建築基準法の日影規制を守っているかを確かめるために作られます。
日影規制では、何時間まで日影になってよいのですか?地域と条例によって違います。建築基準法の別表第4では、冬至日の真太陽時8時から16時の間に、敷地境界から5 mを超え10 m以内の範囲で3から5時間、10 mを超える範囲で2から3時間などの上限が決められています。北海道では時間帯が9時から15時で、上限も短くなります。
日影図はどう読めばいいですか?まず北を確かめ、自分の建物や窓の位置を図に置きます。等時間の線で何時間影になるか、時刻日影図で何時から何時に影になるかを読みます。最後に、図を描いた高さ(1.5 m、4 m、6.5 m)と自分の窓の高さを比べましょう。
日影図と日照時間の違いは何ですか?日影図は冬至の決まった時間帯に、決まった高さの水平面にできる影の図です。日照時間は、あなたの窓に実際に日が当たる時間で、階、窓の向き、周りのすべての建物と木、季節によって変わります。
商業地域にも日影規制はありますか?別表第4の地域の欄に商業地域は挙がっていません。ただし、規制区域の外にある高さ10 mを超える建物が、冬至日に規制区域の中に影を落とす場合は、規制の対象になります。
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